研究概要 |
昨年に続いて,種数2の代数曲線でそのヤコビ多様体が非自明な自己準同型を持つものの族の構成,およびそのmodularity(谷山―志村予想の高次元化)の証明・検証を研究した. ・これまでに,jを自由パラメータとするQ上の曲線族C(j)でそのヤコビ多様体が2次体Q(√<j-12^3>)上ではj-不変量がjに等しい楕円曲線(Q-曲線)の積に分解することが構成したが,その数論的性質について更に詳しく調べた.その結果,j∈Qに対して,JacC(j)は「擬GL(2)型」(即ち,JacC(j)のQ上の自己準同型のなすQ-algebraがQ【symmetry】Qである)ことが判明した. ・上記のヤコビ曲面JacC(j)/Qは殆どのj∈Qに対してmodularであることを示し,更に対応する重さ2の尖点形式(new form)のNeben type characterを具体的に決定した. ・以上の研究をモデルとして,有理数をj-不変量に持つ2次体k上の楕円曲線(Q-曲線)の数論に体する一般理論を構築した.即ち,これらのminimalityおよびk上の2次twistに体するsign changeという現象を明らかにした.特に,各jに対してこの様なQ-曲線の類とkを含む4次巡回体が1対1に対応することが示された. ・非自明な実指標を持つ尖点形式f(z)でそのFourier係数の生成する体が2次体がQ(√<-1>)であるもの(N=37,65,104,157,397,877)に対して,志村のアーベル曲面A(f)/QのモデルとしてQ上の種類2の代数曲線でヤコビ多様体がA(f)とQ^^-上同種なものを具体的に求め,対応する尖点形式(new form)f(z)がそのtheta級数の一次結合となる4変数の正定値二次形式を具体的に求めた. ・Q上の自己準同型環がZ[√<2>]となる曲線の族を構成することを試み,部分的な結果を得た.
|