研究成果の概要は以下のようである。 関数体上の高次元多様体に対するディオファントス問題については、高次元多様体についてのシャファレヴィチ予想は原型が証明できた。消滅定理と古典的正則変形理論が有効であり双有理的観点は無効であった。 高次元モーデル予想は一次無限小変形と極小模型を用いる方法と十年以上前の方法と多重微分層の射影束は多様体の有理点上には有理点をぎっしり含むことから証明できる。与えられた多様体と与えられた曲線と同型な例外部分を除く多様体内の曲線と標準因子との交点数が上から評価できる。数論多様体へ拡張するとよい。 径数多様体上の相対潤滑対数概型の対数構造で指定される相対正規交差因子部分を除外するような対数変形理論が得られた。川又変形理論は小平スペンサー正則変形理論より剛性が強く、我々のそれは正則変形理論より弱い。対数微分層のヴェルディエ双対の双対層を接層の替わりにしている。応用として小平次元が非負の多様体の標準因子の安定固定点の因子に対数変形理論を適用して飯高-フィーヴェック予想が得られる。これは小平次元が非負関数体の変形理論となる。望月のグロタンディエク予想のプロピー版定理を用いると多重双対層の順像の弱正値性をある程度代用する。小平次元が非負関数体の変形理論より剛性の弱い双有理変形理論が得られる。径数多様体上の小平次元非負の多様体の族の関数体に対して径数多様体の関数体の絶対ガロア群の関数体の絶対ガロア群の外同型群への表現をが自明なとき関数体の絶対ガロア群が半直積ならば直積となる。 関数体上の高次元多様体に対するディオファントス問題への応用が多い。 擬射影的トーリック多様体上の対数的開多様体に対して帰納的に代数的輪体の存在を示してホッジ・テートの予想に行き着くことが見られた。潤滑対数概型も局所的にトーリック多様体上に静的に乗っていることから極小模型の問題にも有効であるが、ブローダウンの条件が鍵となる。強極小模型もトロイダル埋入を用いる方法がある。ブローダウンを考えずに対数的潤滑射で支配することで対数的代数堆積を極小模型の代用とするという提案もした。 フーリエ・ドリーニュ・佐藤変換を用いて複素代数多様体のホッジ理論を書き換えることを行った。 ピー進代数多様体に対してフーリエ・ドリーニュ変換を用いてピー進ホッジ理論を書き換える方がより綺麗に処理できるだろう。対数的開多様体に対する飯高・フィーヴェック予想の類似も半局所環について可能である。ベルリン国際数学者で発表、紀要に発表してきた。
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