研究課題/領域番号 |
09640077
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
長岡 昇勇 近畿大学, 理工学部, 教授 (20164402)
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研究分担者 |
浅井 恒信 近畿大学, 理工学部, 講師 (70257963)
中川 暢夫 近畿大学, 理工学部, 助教授 (10088403)
田澤 新成 近畿大学, 理工学部, 教授 (80098657)
泉 脩蔵 近畿大学, 理工学部, 教授 (80025410)
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キーワード | 保型形式 |
研究概要 |
本研究の主要目的である保型形式フーリエ係数の整数論的性質を様々な手法により解明していくという研究課題についてここ一年間に科学研究費の援助により得られた成果について報告したい。まず、多変数の保型形式の典型的な例であるジーゲル・モジュラー形式について、そのフーリエ係数がp整有理数なるものの全体を考え、そのreduction mod pを考える。その様にして得られる標数pの有限体上のジーゲル・モジュラー形式の多元環の構造を次数が2の場合に解明した。議論の鍵はreduction mod pをして定数1になる様なジーゲル・モジュラー形式の存在であるが、重さがp-1のジーゲル・アイゼンシュタイン級数を使って構成するという従来の方法によらずエルミート・モジュラー群に関するアイゼンシュタイン級数を考え、そのジーゲル上半空間への制限を用いる、という新しい試みにより今まで不十分であった点を克服した。これについては、論文"Some congruence property of modular forms"Manuscripta Mathematica,94(1997),p253-265に報告された。 さらに得られた新しい成果としては、J.-P.Serreが考察したp進アイゼンシュタイン級数の概念の高次元化があげられるSerreはp進モジュラー形式の概念を定式化し、その例としてp進アイゼンシュタイン級数を定義し、それによりKubota-Leopoldtのp進zeta関数を総実代数体上に拡張した。我々の結果は次数1の場合にSerreが与えたp進アイゼンシュタイン級数の公式を高次の場合に考察し、非常に簡明な公式を得た事にある。これはアイゼンシュタイン級数のフーリエ係数が高次の場合もp進的極限をもち、それが非常にシンプルで美しい形を持っていることを示している。この結果は現在論文"A note on Serre's example of p-adic Eisenstein series"にまとめられて発表が予定されている。
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