研究概要 |
Mをcompactな複素多様体とし,GをMの正則自己同型群のcompact subgroupとする.このとき,M上のG同変楕円型用素のdeterminantによってGからS^1へのリー群準同型写像が定義される.このとき,G同変楕円型作用素としてある種の直線束に値を持つDirac作用素を考えると,それに対応するリー群準同型写像(拡張二木不変量)のリー環準同型写像は二木不変量の実部を与える.二木不変量はM上のアインシュタイン=ケーラー計量の存在の障害となるが,M上の正則ベクトル場が存在しないときは自明な不変量となってしまう.それに対して上記のリー群準同型写像は正則ベクトル場が存在しない場合も非自明となりうるし,また,その単位元連結成分への制限は明らかにアインシュタイン=ケーラー計量の存在の障害となる.そこで,上記のリー群準同型写像の性質を明らかにし,アインシュタイン=ケーラー計量あるいは他の幾何学的不変量との関係を明らかにすることがこの研究の目的である.それに関してはG同変楕円型作用素を適切にとれば,上記のリー群同型写像が二木不変量だけでなくその一般化である二木=森田の積分不変量の拡張を与えることを示した.(K.Tsuboi,On the integral invariants of Futaki-Morita and the determinant of elliptic operators,Far East J.Math.Sci.,vol.5,1997,305-319)また,拡張二木不変量とサイバーグ=ウィッテン不変量(二木昭人,サイバーグ=ウィッテン理論とトポロジー,J.モーガン,培風館,1998)との関係,あるいは,積分不変量との関係を現在調査中である.
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