研究概要 |
次の3つの結果を得た.これらに関しては現在投稿中,あるいは投稿準備中である。 1.Mを一般のコンパクトな概複素多様体とするとき,一次元および3次元球面の群構造を用いてMの概複素自己同型写像に関する新たなる不動点公式が作れることがわかった.さらにこれを応用して複素多様体がアインシュタイン=ケーラー計量を持つための障害が作れることもわかった.さらにこの結果により,概複素多様体の概複素自己度同型写像に関する研究が進展することが期待される. 2.Mをコンパクトな複素多様体とするとき,M上の仮想線束を適切に設定すれば,その仮想線束に値を持つディラック作用素族のデターミナント束のホロノミーとして二木不変量が表されることがわかった.これによりディラック作用族のデターミナント束のホロノミーがアインシュタイン=ケーラー計量の存在の障害となることが示された.さらにこの結果により,Wittenが導入したanomalyとアインシュタイン=ケーラー計量の存在との関係に関する研究が進展することが期待される. 3.複素多様体がアインシュタイン=ケーラー計量の一般化である定スカラー曲率ケーラー計量をもつための障害であるBando-Calabi-Futaki不変量を計算するための不動点公式を,TianおよびNakagawaの結果を用いることにより,作れることが判明し,これを用いてBando-Calabi-Futaki不変量が具体的に計算できるようになった.さらにこの結果により,様々な複素多様体のBando-Calabi-Futaki不変量の研究が進展することが期待される.
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