研究分担者 |
竹内 博 四国大学, 情報経営学部, 教授 (20197271)
田中 直樹 岡山大学, 理学部, 助教授 (00207119)
島川 和久 岡山大学, 理学部, 助教授 (70109081)
勝田 篤 岡山大学, 理学部, 助教授 (60183779)
三村 護 岡山大学, 理学部, 教授 (70026772)
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研究概要 |
1. 代表者の酒井はこれまでリーマン多様体における種々の不変量の間に成り立つ関係、計量不変量と空間構造の関連をテーマとして研究を続けてきた.特に最近、勾配ベクトル場のノルムが一定であるような関数を許容するリーマン多様体の構造を調べて、多様体のリッチ曲率が下から定数で押さえられているときはそのような関数のラプラシアンに対する不等式を得、等号成立の場合のリーマン多様体の構造を定めた.上記課題に関する科研費の援助のもとで、まずこの結果の摂動版を考察した. 最近,T.H.コールディング,J.チーガー等はリッチ曲率と多様体構造の関連について新しい手法に.よって重要な諸結果を得ている。すなわち,幾何学的関数のヘッツシアンに関する多様体上の積分不等式をボホナーの公式を用いて導き,これを多様体の測地線の空間上の積分不等式に変換することにより多様体の構造に関する情報を得る.この方法を勾配ベクトル場のノルムが一定な関数を許容するリーマン多様体の場合に適用して次のような結果を得た:リーマン多様体のリッチ曲率が下から押さえられていて,その関数のラプラシアンの絶対値が満たすべき不等式の等号成立の場合から少し摂動している場合には,リーマン多様体は(距離球に制限すれば)グロモフ・ハウスドルフ距離の意味で等号成立の場合の(ユークリッド幾何,双曲幾何に対応する)多様体構造(の距離球)に近いことを示した.また,これら等号成立の場合の計量構造はいずれもねじれ積の最も標準的な場合であることに注目して,上の結果を一般のねじれ積をモデルとする場合に拡張した. 2. 次に上記課題に関して分担者達の行った研究について簡単に触れる.勝田はグラフやリーマン多様体のスペクトル幾何に関する研究を行い,特に境界付きリーマン多様体のラブラシアンのノイマン境界値問題の逆問題を扱った,三村はリー群やホップ空間のホモトピー的性質の研究を行い,島川はラベル付き配置空間に自然な安定化の操作を行うことにより一般コホモロジー理論が得られることを示した.田中は半線形発展方程式の研究を行い,時間局所的な古典解の存在と一意性について考察した.竹内はp-調和写像,p-ラプラシアンの第1固有値評価の研究を行った.
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