研究概要 |
平成9,10年度に行った研究によって得られた成果は次の1-4である。 1. (佐伯)ジェネリックな特異点のうち最も簡単である定値折り目特異点のみを許容する、R^3への写像を考え、そのシュタイン分解を通して定義域多様体の構造に関する種々の結果を得た。特に4次元多様体上でのそのような写像の存在性には、多様体の可微分構造が深く関わるという事実を示した。またモラン型の特異点しか持たない写像について研究し、その存在性とホップ不変量1の問題が深く関わるという新しい事実を発見した。さらに境界つき曲面から3次元多様体へのジェネリックな写像を考え、そこに現れる特異点の個数に関する公式を発見した。 2. (菅野)高次元の位相的場の量子論の試みとして、ホロノミー群がSpin(7)あるいはSU(4)であるような8次元リーマン多様体上で位相的ゲージ理論を構成し、これらと10次元の超対称ゲージ理論の関係を明らかにした。また、Seiberg-Witten理論に関する研究として、円周上にコンパクト化した5次元超対称ゲージ理論の4次元有効理論を、Seiberg-Witten曲線の周期積分に対するPicard-Fuchs方程式を用いて解析した。さらに,質量のない物質場と相互作用するN=2超対称ゲージ理論(massless QCD)について、Donaldson-Witten関数を計算した。 3. (寺垣内)結び目のデーン手術によって,様々な3次元多様体を得ることができる。本研究においては,結び目をデーン手術した場合に生じる3次元多様体に現れる制約を結び目の種数の観点から考察した。特に、双曲型結び目のデーン手術によって得られるレンズ空間の基本群の位数に対し、種数を用いた評価式を与えた。 4. (倉)リーマン多様体のp-Green関数による分類条件を曲率を用いて与えた。
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