研究概要 |
2次元円板をそれ自身に移す埋め込み写像の不動点集合の位相的構造について研究し,以下の結果を得た. 1.組ひもの概念を用いて,不動点集合にある種の同値関係を導入することができることを示した. 2.各同値類の組みひも型は,すべて平面の回転から定まる full-twist型であることを証明した.これによって,この同値関係を用いることにより,不動点集合を単純な構造をもつ有限個の部分に分解できることが分かる.従って,不動点集合の構造を決定する問題は,各同値類の性質・構造を調べる問題,及び同値類相互の配置関係を調べる問題という2つの部分に分けられる事が分かった。 3.2で述べられた問題のうち,前者の同値類の性質を調べる問題を扱い,各同値類の不動点指数は1以下であることを示した. 4.上記の結果を用いて,不動点の位相的性質と安定性との間の関係を調べた.まず,2個以上の元をもつ同値類は,必ず不安定な不動点をふくむことを示した.また,不安定不動点をふくむ同値類の個数は,含まない同値類の個数より大きいことを示した. 5.以上の結果は,平面状の埋め込み写像場合に,ほとんどそのままの形で拡張できることを示した。
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