研究概要 |
異なった幾何構造の間の関係を、付随した微分式系の解空間の構造としてとらえ、ダブル・ファイバリングを通してダイナミックにみていくのがツイスター理論の本質であろうと思われる。その考えに沿って、研究成果、予定を述べる。 1. Grassmann構造:(n,2)型は射影構造と対応していて、特に面白い。 ヌル平面束にトートロジカル分布を定義して、完全積分可能性と半平坦性の同値を示した。そのとき、その束にco-Grassmann構造が定義でき、lifting定理,reduction定理,twistor定理を示した。 2. 自己双対な8元構造:4次元Riemann多様体の場合の高次元への拡張として、Spin(7)構造をもつ8次元多様体Mに、自己双対性が定義され、ファイバーがS^-4である12次元ツイスター空間Fが構成できる。さらに、その上に、ファイバーがS^-2である14次元ツイスター空間Zができる。Mが自己双対性をもつことと、Fがsemi-integrableな4元構造をもつことと、Zがintegrableな複素構造をもつこととは同値であることを示した。 3. Monge-Ampere方程式:独立3変数以上の場合に、分解可能という概念を定義した。特性系のLagrange型、non-Lagrange型それぞれの中である種の方程式を特徴づけた。射影構造と、接触構造が定義できるシンプレクティック構造、及びキャリプレーションなどの幾何構造と関係があることを示した。 4. (n,n)型計量構造、シンプレクティック構造(さらに接触構造)をもつ空間でのLaplace方程式などの解、特に基本解のツイスター的構成を行なった。 予定としては、純スピノル構造、Lie接触構造、Lagrangian構造、及び例外群G_2のツイスター理論を展開したい。さらに、キャリプレーションであるspecialLagrangianを、Calabi-Yau多様体からFano多様体に拡張して、モジュライの構造を調べたい。ミラー理論、超弦理論と関係がある。 以上の研究討論、成果を、科研費の旅費を使って、主に名古屋大学、京都教育大学で行い、さらにロシアのカザン大学や岐阜経済大学、秋田大学で講演した。
|