研究課題/領域番号 |
09640151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
田村 英男 茨城大学, 理学部, 教授 (30022734)
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研究分担者 |
岩塚 明 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40184890)
相羽 明 茨城大学, 理学部, 助手 (90202457)
松久 富美子 茨城大学, 理学部, 助教授 (90194208)
大西 和榮 茨城大学, 理学部, 教授 (20078554)
日合 文雄 茨城大学, 理学部, 教授 (30092571)
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キーワード | 磁場散乱 / 散乱振幅 / レゾルベント / 指数積公式 / シュレディンガー半群 / パウリ作用素 / 固有値分布 / 非一様磁場 |
研究概要 |
本研究では、シュレ-ディガ-作用素に関わるスペクトル・散乱問題について、以下の3つの課題を取り扱った。(1)磁場による散乱.(2)指数積公式の作用素ノルムによる誤差評価.(3)2次元パウリ作用素の負の固有値の漸近分布.(1)2次元磁場による散乱問題において、散乱断面積の準古典極限における一様有界性を証明した.現在、低エネルギー領域における磁場散乱、小さい台をもつ磁場による散乱およびその極限における散乱振幅の挙動の研究を進めている.解析方法は、レゾルベントの低エネルギー領域での挙動を調べることに帰着されるが、一般に、2次元磁場散乱においては、コンパクトな台をもつ磁場でも対応する磁場ポテンシャルは長距離型相互作用となり、克服すべき難点が残っている.さらに、磁場ポテンシャルを速度ポテンシャル、磁場を過度に読み換えたとき、磁場散乱は渦システムによる音波の散乱問題と類似性をもつ.例えば、カルマン渦列による音波の散乱はその一例である.このような散乱問題に対して、高周波領域での散乱振幅の解析(ボルン近似問題)やアハロノフ-ボウム効果との関係についても興味をもっている.(2)シュレディンガー半群の指数積公式近似(トロッター・加藤型積公式)に対する作用素ノルムでの誤差評価を解析した.とくに、ポテンシャルが特異性をもつ場合に重点を置いた.現在、カロゲロ・サザ-ランドポテンシャルをもつ多粒子系の分配関数の積分計算に指数積公式の応用を試みている.(一瀬孝氏(金沢大学)との共同研究)(3)非摂動2次元パウリ作用素は、無限縮退するゼロ固有値をスペクトルの下端にもつ,電場ポテンシャルの摂動を受けたとき、ゼロ固有値の無限縮退がいかに解けるか(原点近傍での離散固有値の漸近分布)を解析した.とくに、非一様磁場の場合に力点をおいた.この結果は、定方向磁場をもつ3次元パウリ作用素の場合にも拡張できるが、現在、必ずしも定方向をもたない磁場の場合に結果の改良を目指している.(岩塚明氏(京都大学)との共同研究)
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