研究課題/領域番号 |
09640151
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解析学
|
研究機関 | 岡山大学 (1998) 茨城大学 (1997) |
研究代表者 |
田村 英男 岡山大学, 理学部, 教授 (30022734)
|
研究分担者 |
川下 美潮 茨城大学, 教育学部, 助教授 (80214633)
大西 和榮 茨城大学, 理学部, 教授 (20078554)
岩塚 明 京都工繊大学, 繊維学部, 教授 (40184890)
田中 克己 岡山大学, 理学部, 助教授 (60207082)
勝田 篤 岡山大学, 理学部, 助教授 (60183779)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
キーワード | 指数積公式 / シュレディンガー半群 / パウリ作用素 / 固有値漸近分布 / 磁場散乱 / 散乱振幅 |
研究概要 |
本研究では、シュレーディガー作用素に関わるスペクトル・散乱問題について、次の3課題を取り扱った. 1. 指数積公式(Lie-Trotter-Kato公式)の作用素ノルムでの収束および誤差評価を解析し、その結果をシュレディンガー半群に応用した.とくに、ポテンシャルが特異性をもつ場合や時間依存する場合に力点おいた.この研究は、Rogava(Func.Anal.Appl.,(1993))の仕事を契機に、一瀬孝、百目鬼敦(金沢大学)との共同で行ったもので、得られた結果一連の論文として公表した.最近、Neidhart-Zagrebnov、田村博志(金沢大)らによって我々の結果にさらに改良が加えられている.現在、可積分系として、知られているCalogero-Sutherlandポテンシャルをもつ多粒子系の分配関数の計算に指数積公式の応用を試みている. 2. 岩塚明(京都工繊大)との共同研究で、パウリ作用素の離散固有値の漸近分布を解析した.非摂動パウリ作用素は、無限縮退するゼロ固有値をスペクトルの下端にもつ.電場ポテンシャルの摂動を受けたとき、ゼロ固有値の無限縮退がいかに解けるか(原点近傍での離散固有値の漸近分布)を解析した.この研究では、定方向磁場(非一様ではあるが)の場合、原点近傍での負の固有値の漸近分布公式を導いた.現在、必ずしも定方向とならない一般の磁場の場合への拡張に取り組んでいるが、漸近公式の形すら未だ予想できないのが現状である. 3. 低エネルギー領域での2次元磁場散乱において、散乱振幅の漸近性を解析した.この課題は、適当な変数変換を行えば、小さい台をもつ磁場による散乱あるいはその極限として得られるデルタ型磁場(デルタ型の特異性をもつ磁場)による散乱と密接に関連する問題である.現在、継続課題として、相互作用として複数個のデルタ型磁場をもつ場合の散乱問題を考えている.ベクトルポテンシャルを流れの速度場、磁場を渦度に読み替えると、磁場散乱は渦システムによる音波の散乱に対応する.例えば、カルマン渦列による音波の散乱はその一例であり、重要かつ興味ある問題のひとつである.
|