研究分担者 |
岡田 正巳 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (00152314)
金子 誠 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10007172)
中本 律男 茨城大学, 工学部, 教授 (80007799)
浦川 肇 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50022679)
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研究概要 |
作用素環論を基礎とした非可換確率論と非可換エントロピー論の研究を行った.D.Voiculescuを中心に,作用素環の自由積と密接に関連した自由確率論という新しい非可換確率論が発展している.この理論では,古典確率論の独立性の代わりに自由性の概念が基本的であり,ランダム行列やエントロピー論と関連した話題が面白い.本研究では,ランダム行列に対する大偏差原理や自由エントロピーについて研究した.他に,作用素や行列のノルム不等式についても研究した.最近の成果として, (1)D.Petz氏との共同研究で,ランダム行列の標本固有値分布に対する大偏差原理を体系的に研究し,いくつかの標準的なランダム行列について大偏差原理を証明した.また,非自己共役な非可換確率変数の極分解の観点から,多変量自由エントロピーの研究を行った. (2)日合は,この科研費の期間中に,自由確率論に関する専門書"The semicircle Law,Free Random Variables and Entropy"(386ぺージ)をD.Petz氏と共同執筆し,Amer.Math.Soc.のMathematical Surveys and Monographsのシリーズから出版予定である. (3)幸崎秀樹氏との共同研究で,行列の各種の平均とそれらのノルムの比較について研究した.算術平均・対数平均・幾何平均・調和平均およびそれらを補間する各種平均のノルムを大小比較して,多くのノルム不等式を得た.さらに,無限次元の作用素に対しても,同様な研究を継続する予定である.
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