研究課題/領域番号 |
09640159
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堤 誉志雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (10180027)
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研究分担者 |
山本 昌宏 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50182647)
片岡 清臣 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (60107688)
谷島 賢二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80011758)
俣野 博 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40126165)
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キーワード | 非線形波動方程式 / ストリッカーツの評価式 / 伝播速度の異なる波の相互作用 / クライン-ゴルドン-ザハロフ方程式 / 零条件 |
研究概要 |
非線形波動方程式の初期値問題の適切性は、臨界指数のストリッカーツの評価式が成立するかどうかということと密接な関係があることが、近年の研究によって明らかになってきた。特に、零条件と呼ばれるものを非線形項が満たせば、その非線形項に対し臨界指数のストリッカーツの評価式に相当する評価が成立することが、Klainerman-Machedonによって証明された。この結果は、Yang-Mills方程式などの古典的場の理論に現れる方程式に応用され大きな成果をあげた。しかし、零条件は波動方程式のローレンツ不変性と密接な関係があり、ローレンツ不変でない波動方程式、たとえば弾性体の方程式などにはそのままでは適用できない。そこで、伝播速度の異なる2つの波が2次の非線形相互作用をするときに、波動方程式の解の正則性がどうなるかを研究した。この研究で扱った非線形項は、ストリッカーツの評価式がそのままでは適用できない場合に相当する。しかし、伝播速度の異なる波が非線形相互作用をするときは、ある意味で解の特異性の相殺が期待され、ある種の零条件に相当する効果が予想される。今回は、どのような2次の非線形性に対してそのような効果が現れ、どのような2次の非線形性では伝播速度の相違があっても解の特異性が相殺しないかをすべて分類した。 またその応用として、プラズマ物理において、ラングミュアー波の強い不安定性を記述する方程式として重要なクラインーゴルドンーザハロフ方程式系について、速度の異なる2つの波が2次の非線形性によってどう相互作用をするのかを詳しく解析することにより、初期値問題のエネルギー空間における一意可解性を証明した。このような結果は、クラインーゴルドンーザハロフ方程式系以外にも、物理学や工学に現れる重要な方程式系への応用が期待される。
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