研究課題
基盤研究(C)
変分法と時間離散化スキームを組み合わせた方法による非線型偏微分方程式の研究が当研究の目的であり、具体的に述べると、例えば(∂u)/(∂t)-(F(u)のEuler-Langrange方程式)=0(但し、F(u)はある変分汎関数)という方程式の解を、G_n(u)=∫(|u-u_<n-1>|^2)/(2h)dx+F(u)という汎関数の最小化写像の列から構成し、その解の性質を解析することを目的としていた。今年度、立川等は、リーマン多様体Mから球面S^<n-1>への写像uに対し、G_n(u)=∫_<Ωnh>{(|u-u_<n-1>|^2)/(2h)+|Du|^2}dμ(dμは多様体M上の体積要素、Ω_tはMの単調増大する領域のone-parameter family)という汎関数を用いて、調和写像の熱流方程式(∂u)/(∂t)-Δu-u|Du|^2=0の、時間と共に増大する領域Ω_t上での弱解を研究し、その構成について発表することができた。(「研究業績」欄の1番目の論文)この結果に於ては、従来のガレルキン法による構成方法に比べ境界条件に対する制約を緩めることができた。また、この方法で構成された弱解は、数年前にDe Giorgiにより導入され、近年イタリアの数学者を中心に盛んに研究されているminimizing movementという新しい概念とも対応しており、その点からも注目に値するものと思われる。また現在、非コンパクト多様体上での調和写像の熱流方程式の弱解の構成を試み、一定の成果を挙げつつある。また、これと関連して、非コンパクト多様体間の調和写像の非存在についても新たな結果を得て、報告することが出来た。(「研究業績」欄の2番目の論文)その他、上記の方法により、長澤を中心に多様体上のナヴィエ・ストークス方程式についても研究を進め、弱解の構成と、その弱解のある種の正則性に関する成果を発表することができた。(「研究業績」欄の3番目の論文)
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