研究課題
変分法と時間離散化スキームとを組合せた方法による非線型偏微分方程式の研究が、当研究の目的である。具体的に述べると、例えば(∂u)/(∂t)-(F(u)のEuler-Lagrange方程式)=0(但し、F(u)はある変分問題に現われる汎関数)という方程式の解をG_n(u)=∫(|u-u_n-1)/(2h)dx+F(u)という汎関数の最小化写像の列から構成し、その解の性質を解析することを目的としていた。また、このような写像の列の極限として得られる、時間パラメータを含んだ写像は数年前にDe Giorgiにより導入され、近年イタリアの数学者を中心に盛んに研究されているminimizing movementと関連が極めて深く、仮に微分方程式の解にならなくても、それ自身興味深い研究対象である。平成10年度、立川は上記の方法を用いて、非コンパクト多様体から一般次元球面への調和写像の熱流方程式(Eells-Sampson方程式)の(∂u)/(∂t)-Δu-u|Du|^2=0弱解の構成を試み、成果を得つつある。この研究を平成11年度も継続して行く予定である。また、これと関連して長澤、立川の共同研究で、非コンパクト多様体間の調和写像の非存在問題についても研究を行っているが、これに関しては、曲率の条件の観点から見る限り、ほぼ最終結果とも言える結果を得ることができ、これをICM98で発表した。また、長澤は上記の方法を用いてナヴィア・ストークス方程式の弱解のエネルギー不等式を精密化し、これを用いて弱解の部分正則性の評価も得た。さらにこの方法で、双曲型ギンツバーグ・ランダウ方程式の解を構成し、数値解析を行った。
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