研究課題/領域番号 |
09640182
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 宏 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90243005)
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研究分担者 |
島田 伸一 摂南大学, 工学部, 助教授 (40196481)
池部 晃生 摂南大学, 工学部, 教授 (00025280)
土居 伸一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00243006)
大鍛冶 隆司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20160426)
岩塚 明 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40184890)
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キーワード | ディラック方程式 / 散乱作用素 / 散乱理論 / 逆散乱問題 / 相対論的量子力学 / 相対論的不変性 |
研究概要 |
時間に依存する電磁場を持つDirac方程式の逆散乱問題を考えた。時間に依存しない電磁場の場合には筆者、Jung氏、磯崎氏らにより、散乱作用素からもとの電磁場を再構成できることが証明されていた。しかし、相対論的不変性を要求されるDirac方程式の場合には時間に依存する一般的な形でこの問題を考察する方が自然である。電磁場および電磁ポテンシャルに適当な減衰条件を課すと、散乱作用素から電磁場のある部分が再構成できることを示した。また、再構成できない部分も散乱作用素には影響を与えることも示した。しかし、直観的な考察によるとこの部分は相対論的な立場からは特異な部分であり、この部分が散乱作用素から再構成できるかどうかは現在研究中である。だたし、電磁場が適当な慣性系においては時間に依存しない場合やある種の指数減衰条件を満足する場合には電磁場全体が完全に再構成できることを示すことが出来た。我々の仮定や得られた結果は慣性系の取り方によらない形で述べられており、相対論の立場からは自然な結果である。 Dirac作用素の研究は、Pauli作用素、Schrodinger作用素の研究と密接な関係がある。岩塚は、田村英男氏とともに2次元Pauli作用素の0以下の離散固有値の漸近公式を与えた。そして、磁場と電場の干渉の仕方に応じてその公式はいくつかに分かれることを示した。また、大鍛冶はSchrodinger方程式の初期値問題に関する特異性の伝播、平滑化および一意接続定理を研究した。さらに、島田は、サポートが直線上にあるポテンシャルをもつSchrodinger作用素の自己共役的拡張やスペクトルおよび散乱作用素の解析を詳しく行った。
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