研究分担者 |
黒岩 大史 島根大学, 総合理工学部, 助手 (40284020)
秦野 薫 島根大学, 教育学部, 教授 (40033873)
杉江 実郎 島根大学, 総合理工学部, 教授 (40196720)
古用 哲夫 島根大学, 総合理工学部, 教授 (40039128)
相川 弘明 島根大学, 総合理工学部, 教授 (20137889)
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研究概要 |
1.局所有限な可算無限ネットワークをリーマン多様体の離散アナロジーと考えて,離散倉持関数を導入する。定点で値ゼロをとりディリクレ和有限な節点上の実数値関数の作るヒルベルト空間の再生核として定義される離散倉持関数は,倉持境界論における連続型倉持関数と極めて類似な性質を有する。この離散倉持関数を核とするポテンシャルと優調和関数よりも強いSHS関数の性質を詳細に検証した。マルチン境界という理想境界を導入することにより調和関数の性質が明らかになる理論と同様に,離散倉持関数を用いて無限ネットワークの理想境界(倉持境界)を導入する。この理想境界にまで連続的に拡張された倉持関数を核とするポテンシャルを用いて,正値HSの積分表示を証明し,マルチン境界論と類似な結果を検証した。 2.研究実績1の理論は離散ラプラシアンが線形作用素であり,離散倉持関数がこの作用素の逆作用素の場合である。離散ラプラシアンを非線形離散ラプラシアンに置き換えた場合に得られる非線形倉持関数の基本的な性質を調べ,この関数を用いて無限ネットワークの倉持境界を導入した。線形性が仮定しないことによる困難さについて検討中である。 3 無限ネットワーク上の各種の極値問題を研究する際に,グラフの節点や線の上で定義され,値域が実数の場合を考察してきた。値域をヒルベルト空間に選ぶとき,グラフの線上で定義される抵抗関数はヒルベルト空間からそれ自身への可逆・正定値な連続線形写像に対応する。この設定のもとで,離散ポテンシャル論で有用な節点制約条件の下でディリクレ和を最小にする問題,単位強さの多重フローでエネルギーを最小にする問題,極値的長さ及び極値的幅の問題にいて,解の存在や各問題の値の関係を詳しく調べた。
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