研究分担者 |
佐藤 学 広島大学, 工学部, 助教授 (90178773)
加藤 比呂子 広島大学, 工学部, 助手 (60284171)
太田 康広 広島大学, 工学部, 助手 (10213745)
岩瀬 晃盛 広島大学, 工学部, 教授 (10103079)
會澤 邦夫 広島大学, 工学部, 助教授 (80150895)
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研究概要 |
今年度の目標は大別すれば2つで,1つは代表者の従来の純粋数学的な研究の継続的遂行と応用的見地からの吟味であった.具体的な成果としては,閉リーマン面の等角的埋め込みによって実現された理想境界の計量的評価が与えられた.すなわち,可能なあらゆる埋め込みに際して,埋め込まれた面のヤコビ多様体の普遍被覆空間である複素空間の中で考えた理想境界の直径は有界であることが示された. もう1つは,流体力学的な現象であるランキン卵と純粋数学的研究との具体的な関わりを明らかにすることであったが,最も簡単かつ重要な「単連結な流れ場」を考案した.湧き出し・吸い込み対の位置・強さ等の物理量と単葉有理型関数の係数との対応関係を正確に与え,ランキン卵の等角写像論的な意味(面積)を調べた.分担者の一人である伊藤雅明との作業により,一部は理論的に一部は計算的に得られた成果を,1997年秋にキプロス共和国で開かれた「計算的方法と関数論に関する第3回国際会議」において発表した. 純粋思考の実践的活用を図る各研究分担者もまた独自の成果を得,研究手法や方向性等を代表者に指摘した.以下具体例を挙げる.まず,會澤は木文法を2次元配列上に拡張し生成可能な2次元パターンの性質を研究し,伊藤は渦糸格子における周期解の構成等を研究した.太田は離散的パンルヴェ方程式の自己双対構造の解析を行い,ある種の非線形可積分系に対する非自明な真空状態上の解空間を構成した.物理とはまた違った意味で実践世界に強く関わる形で,岩瀬が水環境での物質濃度の推定方法に関する研究を行い,佐藤は室内中の空気の流れを喫煙者に影響されずに解析するためにランダム係数回帰モデルを適用した.また,加藤は平均非定常性を示すデータについてベイズ型多変量フィードバックモデルをあてはめて統計的システム解析を行った.
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