研究概要 |
1.特異摂動型半線形楕円型境界値問題の内部遷移層を持つ解を構成した。 (1)定常界面の形状を決定する自由境界問題の解の存在を仮定する。その上で,この定常解の非退化性の条件を導出した。領域が円板の場合には解の存在と非退化条件が満たされていることを検証した。 (2)定常界面によって分かたれた2つの部分領域において,それぞれ,半線形楕円型境界値問題の解であり,定常界面において境界層を持つものの構成を行った。さらに,それぞれの解の界面における,法線方向微分を漸近展開の手法により高精度な近似を求めた。 (3)上記(2)で構成した2つの解が界面において滑らかに接合する条件として,界面上の非局所的楕円形方程式系を導出した。これの可解条件を明確にし,(1)の非退化条件と合わせて,内部遷移層解の存在を示すことに成功した。特に,領域が円板の場合は,存在問題を完全に解決した。 2.定常解面の形状を決定する自由境界問題を変分法的なわく組みの中で定式化した。しかし,この変分問題には従来の手法が直接適用できないため現在,新たな手法の解決法を研究している。この研究は次年度へと引き維がれていく。
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