研究課題/領域番号 |
09640199
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
諸澤 俊介 高知大学, 理学部, 助教授 (50220108)
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研究分担者 |
小駒 哲司 高知大学, 理学部, 教授 (20127921)
加藤 和久 高知大学, 理学部, 教授 (20036578)
新関 章三 高知大学, 理学部, 教授 (60036572)
藤解 和也 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (30260558)
大坪 義夫 高知大学, 理学部, 助教授 (20136360)
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キーワード | 複素力学系 / ファトウ集合 / ジュリア集合 / 超越整関数 / 値分布論 / 超越整関数の位数 / 遊走領域 / ベーカー領域 |
研究概要 |
超越整関数の力学系と有理関数の力学系との大きな違いのひとつは超越整関数の力学系のファトウ集合が遊走領域あるいはベーカー領域を含むことがありえることである。ところが超越整関数は常に適当な多項式列の広義一様収束極限として考えられる。このとき、力学系としての収束がどのようなものであるかを考えた。すなわち、ジュリア集合とファトウ集合の収束を考えた。特に遊走領域あるいはベーカー領域をもつような超越整関数についてこのことを考察した。一般には関数列の広義一様収束はファトウ集合やジュリア集合の収束を意味しない。そこである条件のもとで多項式のファトウ集合列の適当な成分がベーカー領域に収束することを示した。また、ある条件を満たすファトウ集合列をもつ多項式列の広義一様収束極限となる超越整関数は遊走領域を持つことを示した。そして、これらをまとめて論文とした。 前年度に引き続き、超越整関数のファトウ集合が有界成分だけからなるのはどのような場合であるかを考察した。その条件としては、その超越整関数の位数が1/2以下となることが予想としてある。諸澤と藤解は値分布論の立場からこの問題を考えた。さらに、ファトウ集合が多重連結な成分を持つ時、このときこの成分は遊走領域となるが、その超越整関数の位数が1/2以下となるのではないかと考えた。これらの問題について活発に情報収集と研究討論を行った。 藤解はさらに、ある代数型函数についてその函数が与える有理型函数体上の線型微分多項式の比を考え、その特性函数が再びこの函数体の元となるとき、その函数の対数導関数もまた同様なことが得られるか否かについて考察した。これはNevanlinna理論でもっとも重要な結果の一つである対数導関数に関する評価の逆の主張に対応した問題である。
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