研究概要 |
平成9年度科学研究費補助金を得て成された代表者の研究実績は、出版された論文が2編、出版予定の論文が2編、投稿中の論文が2編である。その内容は次のとうりである。 1。研究課題「作用素環におけるシュワルツノルム」について次の結果を得た。C*一環 A の作用素Tについて数域半径 w(T)はシュワルツノルムである。w(T)≦1 である全てのTと 単位円 の全てのメ-ビウス変換 fについてw(f(T))≦1 であれば A は可換であることを示した。これは雑誌Archiev der Math.から出版された。 2。正定値作用素、(あるいは行列)A,Bについての対数関数の積のノルムについて次の結果を得た。 ||log(1+A)log(1+B)||≦log(1+√<||IIAB||>)^2. この論文は不等式の新しい専門雑誌である Mathematical Inequality and Appl.で印刷済みである。 3。ハインツー加藤不等式を古田氏が拡張した不等式がある。それを更に拡張して次の結果を得た。作用素単調関数f(t),g(t)>0について T(fg/t)(|T|)はすべての T について定義され (T(fg/t)(|T|)x,y)≦(f(|T|)x,x)(g(|T^*|)y,y) が成立することを示した。これはProc.Amer.Math.Soc.に受理された。 4。作用素(行列)についてのレーブナ-の定理と呼ばれる定理がある。それは 0≦A≦Bならば0≦f(A)≦f(B) をみたす関数 f を解析接続の言葉で特徴ずけた定理である。このfについて次の簡単な結果 0≦A<Bならば0≦f(A)<f(B) を得、更に深い考察を行った。
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