研究概要 |
研究分担者及び研究協力者(高橋泰嗣,L.Maligranda(Lulea Univ.))と得た成果の概要は次の通りである。 1. Von Neumann-Jordan定数(NJ定数)とバナッハ空間の幾何学的な性質について (1) non-square定数,正規構造係数などとNJ定数の関係を明らかにし,これよりNJ定数<5/4ならば不動点定理が成り立つことを示した。またその最良性を考察し一定の結果を得た。 (2) C^2上のabsolute norm(l_p型でない例を含む)に対するNJ定数を研究し一定の成果を得た。 (3) 一様凸性,B-convexityなどの凸性を「±1行列のノルムの挙動」により特徴づけた。 2. Clarkson型不等式について Clarkson不等式,一般Clarkson,またランダムClarkson不等式などの一連のClarkson型不等式が一般のバナッハ空間に於いて,type,cotypeの枠組みで統一的に特徴づけられることを示した。 3. バナッハ空間の幾何学的な性質(isometric property)との関連で,その構造論(isomprphic proprety)について,特にW.T.Gowers(1998年Fields賞受賞者)の一連の歴史的な結果の周辺を中心に考察し一定の知見を得た。 以上の成果の一部を国際会議“Function Spaces V"(Poland;ICM98のSatellite Conference),日本数学会秋季総合分科会,実解析学シンポジウム,第7回関数空間セミナー,京都大学数理解析研究所研究集会などで発表した。また,本研究の成果を含めた最近の結果を日本数学会第37回実函数論・函数解析学合同シンポジウム,及びLulea Univ.(Sweden;Mathematical Seminar)で発表した。なお,上記の研究成果の一部はL.Maligranda,L.E.Persson(Lulea Univ.)との共同研究によるものであり目下共同論文を作成中である。
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