研究概要 |
本研究は次の移流拡散方程式系(1)の解の定性的な性質を調べることを目的としている。 (1)u_t=Δu-∇・(u∇φ(υ)),υ_t=Δυ+f(u,υ),x∈Ω,t>0. 平成9年度において、(1)を単純化した系 (2)u_t=Δu-∇・(u∇υ),0=Δυ-υ+u,x∈Ω,t>0 に対して、次の2点 1.関数の対称化の方法による解のL^pノルムの評価、 2.解の時間大域的存在及び爆発点での解の挙動 について研究を行ない、以下の結果を得た。 1.Ω=R^Nの場合に、対称化された関数の時間に関する偏導関数について考察し、その適用としてΩ=R^2における移流拡散方程式系(2)の解のL^pノルム評価を得た。 2.二次元有界領域Ωの境界で斉次Neumann境界条件を課した(2)の初期境界問題の解について、エネルギーを爆発点で局所化し、さらにBrezis-Merle型の不等式を用いることにより、境界上にある爆発的の存在および孤立爆発点では解はデルタ関数的な特異性を持つ事を示した。 移流拡散方程式系(1)の解の爆発点での解の挙動、また爆発点は孤立しているのかどうかについてはこれからの研究課題である。
|