研究概要 |
平成9年度における本研究の目的は一般超幾何関数の積分表示をtwisted homology,twited cohomologyのdual pairingとして理解するために,ホモロジー,コホモロジーのsingular theory,およびそのde Rham理論を整備する事であった.目的を達成するために,以下の研究集会を開催した. 研究集会「数論と特殊関数」(1月12日-1月14日(熊本大学)) 論文によって発表した具体的な結果は以下の通り. ・一般超幾何関数の中でもっとも合流が進んだAiry関数は(r+1)×(n+1)複素行列のなす空間Z_<r+1,n+1>で定義された関数で,その解は,r次元複素射影空間上の実r次元積分で与えられる.Airy関数に付随する有理的de Rham cohomology群においてr次以外のcohomology群は消滅することを示し,r次のcohomology群の次元が(n-1)!/r!(n-r-1)!であることを示した.これはAiry関数の満たす微分方程式の解の空間の次元と一致する.さらに,cohomology群の具体的な基底がSchur関数という組合せ論において重要な対称関数で与えられることを指摘した. ・Z_<2,n+1>上の一般超幾何関数,すなわち一重積分で解が与えられる場合に,その積分路として最低限n-1個の独立なものが得られることを示した.さらにこれらのcycleが合流と呼ばれるある種の極限操作によってさらに合流が進んだ方程式の解を与える積分路にどのように変化していくかを調べた.
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