研究概要 |
本年度の研究実績の第1は次のとおりである。関数Φ(t)は区間[0,∞)で定義され、Φ(0)=0を満足する単調増加関数とする。関数Φによって定義されるT=[0,∞)上のオ-リッツ空間をL^Φ(T)によって表す。オ-リッツ空間L^Φ(T)に属する関数fの最大値関数Mf(x)が別のオ-リッツ空間L^Ψ(T)に属するための必要十分条件を与える不等式についてはすでに発表された筆者の論文(Proc.AMS,1996)で与えられた。又、上記の逆不等式が成立するための必要十分条件については同じく筆者の論文(Studia Math.1996)の中で与えられた。 本年度は上記の結果をn次元ユークリッド空間R^nにおける関数からなるオ-リッツ空間L^Φ(R^n)の場合に拡張する事に成功した(Math.Nachr.1997)。上記の結果は各種の線形作用素の応用が期待される。 本年度の研究実績の第2は次のとおりである。可積分関数fのFourier級数の第n部分和S_n(f,x)の絶対値の最大値関数をS^*(f)(x)とする。又、指数増大度を持つ関数Φ(t)=exp(t^γ)-1,(γ>0)によって定義されるオ-リッツ空間をL(expt^γ)で示す。関数fがL(expt^γ)に属するときfの最大値関数S^*(f)はL(expt^<γ/(γ+1)>)に属する。この事はすでに筆者の論文(Acta Math. Hungar.1994)の中で詳しく論じられている。本年度は上記の結果を一般のオ-リッツ空間の場合に拡張することに成功した。即ち、fが急増加するΦ(t)によって定義されるオ-リッツ空間L^Φ(T)に属するとき、その最大値関数S^*(f)がいつでも別のオ-リッツ空間L^Ψ(T)に属すためのΨが満足する条件を発見した。
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