研究概要 |
本年度の研究実績の第一は次のとおりである.関数Φ(t)は区間[0,∞)で定義され,Φ(0)=Oを満たす単調増加関数とする.関数Φ(t)によって定義されるT=[-π,π]上のOrlicz空間をL^Φ(T)によって表す.可積分関数FのFourier級数の第n部分和S_n(f,x)の最大値関数をS^*(f)(x)とする.また,指数増大度を持つ関数Φ(t)=exp(t^γ)-1,(γ>0)によって定義されるOrlicz空間をL(expt^γ)で表す.関数fがOrlicz空間L(expt^γ)に属するときfの最大値関数S^*(f)はL(expt^<γ/(γ+1)>)に属する.このことは,すでに筆者の論文(Acta Math.Hungaru,1994)の中で詳しく論じられている. この結果を一般のYoung関数Φの場合に拡張する問題については,前年度のこの報告の中でも述べた.そのときのΦには特別の条件がつけられていた.本年度の成果として,我々はその条件を取り除くことができた.そのときに利用されたのは,Lorentz空間における作用素の補間理論である.関数fが急増加するYoung function Φ(t)によって定義されるOrlicz空間L^Φ(T)に属するとき,その最大値関数S^*(f)がいつでもOrlicz空間L^Ψ(T)に属するためにΨが満足する最良の条件をみつけることができた. 我々の第二の研究成果は,ZygmundクラスLlogLに近いOrlicz空間L^Φ(T)における関数fのFourier級数の概収束と,最大値関数S^*(f)(x)の評価を得ることができたことである.即ち, ∫^t_1 (Ψ′(u))/udu【greater than or equal】a_0log(1+logt)for t>1 が成立するならば,||Ψ(S^*(f))||_L^1【less than or equal】C||f||_L^Φがすべてのf∈L^Φについて成立することがわかった.詳しくは,H.Kitaの論文[Ki1]を参考にしていただきたい.
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