研究概要 |
「関数微分方程式系の定性的及び数値解析的研究」のうち、本年度の主な結果は次の1,2,3である: 1. 従来、我々が開発していた複数個の時間遅れを含む1次元及び2次元微分方程式系の解のグラフィック化のためのコンピューターソフトDDE1RK,DDE2RKを大幅に改良して、積分項を含む時間遅れ微分方程式系にも適応可能な近似公式をルンゲ・クッタ法および積分近似を用いて作成し、それに対応する解軌道のグラフィック化のためのコンピューターソフトFDE1RK,FDE2RKの開発した。さらに積分項を含む3次元以上の時間遅れ微分方程式にも適応可能な解軌道のグラフィック化のためのコンピューターソフトFDE4RKP,FDE4RKTを開発した。 2. 開発完成したコンピューターソフトFDE4RKP,FDE4RKTを使って時間遅れを含む生態系微分方程式の解軌道をグラフィック化し、解の特性をしらべ、抽出したいくつかの解の性質に数学的証明を与えることに成功した。 それらのうち代表的なものは以下の通りである: (1) 変数係数n次元線形関数微分方程式系の零解の指数漸近安定のための必要十分条件 (2) 変数係数1次元非線形関数微分方程式の零解の漸近安定性のためのbest possible(最善)な十分条件 (3) 時間遅れ含むロトカ・ヴォルテラ型微分方程式の大域的漸近安定性とパーマネンスに関する必要十分条件 (4) 積分表示された時間遅れをもつ被食者・補食者モデル微分方程式の漸近安定性の十分条件 (5) スチェルチェス積分で表現された線形関数微分方程式系の漸近安定性および漸近定数問題の必要十分条件 3. 時間遅れのない生態系微分方程式系のうち、イブレフ型、ホリング型応答関数をもつ被食者・捕食者モデルが極限閉軌道をもつための必要十分条件の発見およびその証明の完成。
|