研究課題/領域番号 |
09640223
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
山口 勝 東海大学, 理学部, 教授 (10056252)
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研究分担者 |
田中 実 東海大学, 理学部, 教授 (10112773)
伊藤 達夫 東海大学, 理学部, 教授 (20151516)
赤松 豊博 東海大学, 理学部, 教授 (00112772)
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キーワード | 弦の振動 / 準周期解 / ディオファントス近似不等式 / リサージュ境界条件 / 円形膜の振動 / 波動方程式 |
研究概要 |
計画調書の研究目的の欄における「研究の目的」の項で述べられた諸問題の研究を推進し、以下のような研究結果を得た。 I.(x,y)-平面で両端点がリサージュの図形を描きながら動く弦の振動の数学モデルは、周期境界条件と周期境界関数をもつ線形斉時1次元波動方程式の初期値境界値問題(IBVP)で記述される。昨年・一昨年の研究において、2つの境界関数によって表される単純な合成関数が本質的な役割を果たすことが示された。今回、重要で興味あると思われる次の結果を得た。上記の合成関数は、周期または準周期項をもつ一次元力学系をなすが、これまでの研究で得られたReduction Theoremに現われるReductionを与える同相写像を用いると、上記のIBVPにおいて、波動作用素の形を保存しつつ、周期・準周期非柱状領域を柱状領域に変換する単純な形の領域変換が構成される。これにより、1次元波動方程式の周期・準周期境界値問題(BVP)は、柱状領域における低階項の現われない同じ形の波動方程式を考察すれば十分であることが分かる。これにより、これまで未解決であった周期境界条件をもつ非線形波動方程式の周期解の存在を証明することができる。また、時間周期・準周期非斉時項をもつ波動方程式のIBVPの解の準周期性も示すことができる。 II.昨年度に続いて、円形膜の振動で境界が準周期的に振動している物理モデルを数学的に定式化した準周期的に振動する境界をもつ円対称な2次元波動方程式のIBVPを研究し、解の挙動を記述する定理を得た。証明の方針は、既知の円対称の場合の解の表現定理を用い、上記の1次元の場合に用いられた方法を適用することによる。その際、準周期力学系のReduction Theoremが本質的に用いられる。
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