研究概要 |
ヒルベルト空間上の有界線形作用素の順序保存に関する有名なLowner-Heinz(1934)の定理は次のことである。A≧B≧OならばA^p≧B^pただし1≧p≧0、しかしA≧B≧Oであってもp>1に対しては必ずしもA^p≧B^pとは限らない。このため応用の上で大変不便であったので、それを解消するために我々はFuruta inequality(1987)を次のように確立した。 If A【greater than or equal】B【greater than or equal】0,then for (*) (Ar/2A^pAr/2)1/q【greater than or equal】(Ar/2B^pAr/2)1/q holds for p【greater than or equal】0 and q【greater than or equal】1 with(1+r)q 最近このFuruta inequalityの応用が多方面において見つかっている。それは主に次の三分野においてである。(a)作用素不等式、(b)ノルム不等式、(c)作用素方程式。これらの応用のうち主なものを次に述べてみよう。(a_1)relative operator entoropyへの応用(a_2)Ando-Hiaiのlog majorizationへの応用(a_3)Generalized Aluthge transformation(b_1)Heinz-Kato inequalityの一般化(b_2)Kosaki trace inequalityの一般化(c_1)Pedersen-Takesakiの作用素方程式の一般化などである。 最近Furuta inequalityの一般化が得られたが、これはAndo-Hiaiによるlog majorizationと同値な作用素不等式とFuruta inequalityを補間する作用素不等式である。このGeneralized Furuta inequalityのたった1頁の証明が得られた。更にこれらに関連した作用素関数との同値性が示された。今後益々Furuta inequalityの応用や発展が期待される。
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