研究課題/領域番号 |
09640228
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山田 義雄 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20111825)
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研究分担者 |
中島 主恵 早稲田大学, 理工学部, 学振研究員
廣瀬 宗光 早稲田大学, 理工学部, 助手 (50287984)
西原 健二 早稲田大学, 政経学部, 教授 (60141876)
大谷 光春 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30119656)
堤 正義 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70063774)
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キーワード | 反応拡散方程式 / Lotka-Volterraモデル / 正値定常解 / 強最大値原理 |
研究概要 |
今年度の研究成果は、放物型方程式系に対する強最大値原理とその半線形問題への応用に関する研究と、Lotka-volterra型の反応拡散方程式系の正値定常解の研究の二つに大別される. (1) 単独の放物型方程式に対する強最大値原理は内容自体が興味深いだけではなく、非線形問題の解析においても非常に強力な役割を果たしている.しかし、放物型方程式のシステムに対してはもはや最大値原理は一般には成立しない.本研究で扱った方程式系は“協力項"と呼ばれるcoupling-termを持つものである.これにたいして適当な条件下で強最大値原理が成立することを示し、さらに半線形問題の定常解の存在、一意性、安定性について興味ある結果を得た. (2) Lotka-volterra型の競合モデルに対する反応拡散方程式系の正値定常解は、数理生態学分野においては共存解として大きな意味がある.本研究においては同次Dirichlet境界条件下で共存解が存在するための十分条件を調べるとともに、その一意性・非一意性を理論的および数値解析的に調べた.とりわけ、拡散係数をパラメータとみると、線形拡散のケースでは反応項との関連で拡散係数がある程度小さくなると、共存解の一意性がくずれることが理論的に明らかになった.これは、数値解析的にも確認することができる.さらに、興味深いのは非線形拡散のケースである.理論的に共存解の一意性がくずれると予想されるパラメータ領域における数値実験では、半自明解からの対称な共存解の分岐、さらに対称分岐解から非対称な共存解の分岐というように、共存解の集合は非常に複雑になることが示された.これは理論的には未解明であり、定常解集合の構造に関する情報は十分ではない.今後解明していかなければならないことが多い研究分野である.
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