一般研究(C)研究題名「リーマン・ヒルベルト問題の研究」(No.09640229)の科学研究費の費用により、平成9年〜平成11年度の間、上記の問題について研究を行った。この間論文を16編作成し、このうち9編はすでに印刷された。残りの7編は現在、印刷中となっている。研究は次のような5つのステップで進めた。 (1)p-hyponormal作用素に新しいspectral mapping theoremを導く。 (2)p-hyponormal作用素に新しいgeneral polar symbolを導入する。 (3)p-hyponormal作用素のsingular integral modelを作る。 (4)Putnamの不等式をn-tupleに拡張する。 (5)Riemann-Hilbert問題をp-hyponormal作用素に拡張する。 このうち(1)〜(3)については、(4)と(5)の研究のために行わなければならない研究であるが、これらについては、ほぼ理想的な形の結果を得ることができた。このため本研究の重要なテーマであった(5)の問題については、研究期間内に研究成果を得ることができた。(4)の問題については、研究の足がかりを得ることができ、研究成果を2編の論文としてまとめた。 本研究は新潟大学教育人間科学部の古谷正教授には全面的な協力を得た。研究は古谷教授との共同研究が主である。また、平成10年度にはバナッハ研究所のW.Zelazko教授に来日していただき、平成11年度にはアイオワ大学のR.Curto教授に来日していただいた。両教授とは主として(4)に提示した問題について共同研究を行った。この(4)の問題、Putnamの不等式をn-tupleに拡張することについてはまだ完了できてはいないが、幸い2つの結果を得ることができた。
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