研究概要 |
相境界の研究:Maxwell相境界の漸近安定性(浅倉史興) 相境界が現れる非線形双曲型保存則系のRiemann問題:Abeyaratne-Knowlesの許容条件を採用したとき,許容関数ΦがΦ'(0)>0をみたせば、Maxwell相境界の近傍ではRiemann問題が適切に解けることを証明した.このとき,この許容条件は無限小レベルではDafermosのエントロピー最大減衰原理と一致することを示した. Maxwell状態の摂動の漸近安定性:Riemann問題の解を用いた相境界と衝撃波の相互作用の定量的分析により,波面追跡法による差分スキームの安定性を示し,大域的弱解の存在を証明した.さらに,Glimm-Lax理論を相境界に適用して,得られた弱解が許容条件を満たすことを示し,さらに許容条件が相境界の漸近的安定性をもたらすことを証明した. 双曲系の研究:弱双曲型偏微分方程式系に対する初期値問題のGevrey-適切性(山原英男) 特性根の重複度が一定の場合:単独の場合と異なり,主要部の最小多項式の零点の重複度に対応した指数でGevrey-指数が定まることを示した.さらに,いわゆるLevi-条件と対応した指数でGevrey-指数が定まり,この場合に完全な解答を得るための方向性が見いだせたので,次年度に向けて1つの目標を得ることができた. 特性根の重複度が一定でない場合:上の結論は,一般に成り立たないこと;さらに,特性根の退化度とジョルダン標準形の退化度がどのようにGevrey-指数を決定するかを示す例を与えた. 軌道問題の研究:遅れを持つ微分方程式系の解の漸近挙動(坂田定久) 線形方程式系(dχ)/(dt)=aχ(t)+Bχ(t-r),r>0の零解が漸近安定であるための必要十分条件を定数aと行列Bの固有値を用いて求めた.
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