研究課題/領域番号 |
09640234
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
青木 貴史 近畿大学, 理工学部, 教授 (80159285)
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研究分担者 |
尾和 重義 近畿大学, 理工学部, 教授 (50088506)
泉 脩藏 近畿大学, 理工学部, 教授 (80025410)
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キーワード | 多重スケール解析 / 楕円関数 / Duffing方程式 |
研究概要 |
種々の線型または非線型微分方程式の形式解あるいは漸近解を構成する手段として多重スケール解析の方法はよく用いられる。しかし、殆どすべての場合において、現在までに知られている応用例は、形式解の初項のみか、せいぜい第2項までのみを問題としており、その操作を続けられるか、続けられるとしてすべての項を求めたとき、和は収束するか、等の基本的な疑問に関してはまったくといって良いほど議論はなされていない。 当研究では、Duffing方程式に関してこれらの基本的問題を解決した。すなわち、次の結果を得た。 1.Duffing方程式に対して通常知られている多重スケール解析の方法による形式解の構成は一般項まで拡張可能である。 2.多重スケール解析により得られた形式解は指数漸近級数の形をしているが、適当な領域で収束し、復素解析関数を定める。 3.Duffing方程式の厳密解がJacobiの楕円関数を用いて求められ、楕円関数の一つの周期方向に注目して周期関数と見てFourier級数展開すると、やはり指数関数の級数(Fourier級数)が得られることは、よく知られているが、それが2で得られた指数漸近級数解と本質的に同じものである。 4.同じ議論はWeierstrassのp-関数の満たす2階非線型微分方程式に対しても適当な摂動パラメータを入れたとき可能である。 5.上の場合、第1項は平方根の根号による符号の不定性を持ち、符号の選び方により二種類の指数関数級数解が得られる。それらの二つの種類の解は楕円関数の二つの周期の方向に対する二通りのFourier級数展開に対応し、それらは互いに虚変換により関係する。
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