研究課題/領域番号 |
09640237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
草野 尚 福岡大学, 理学部, 教授 (70033868)
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研究分担者 |
吉田 範夫 富山大, 理学部, 教授 (80033934)
内藤 学 愛媛大, 理学部, 教授 (00106791)
黒木場 正城 福岡大学, 理学部, 助手 (60291837)
田中 尚人 福岡大学, 理学部, 助教授 (00247222)
西郷 恵 福岡大学, 理学部, 教授 (10040403)
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キーワード | 振動理論 / 非線形微分方程式 / 定性的理論 / 定量解析 |
研究概要 |
本研究の初年度分は研究計画に従って忠実に実施された。研究活動は順調に進行し、その結果当初の見込みを大きく上回る成果が挙げられた。ここでは研究代表者の周辺で得られた結果を中心に報告する。 考案の対象としては、常微分方程式、偏微分方程式、関数(常、偏)微分方程式の様々なクラスが取り上げられ、その各々に対して振動性、非振動性が定性的、定量的の両面から詳細に分析された。その中で特に重点的に研究されたのは、主要部が所謂1次元p-Laplace微分作用素(これは線形のSturm-Liouville作用素の自然な拡張と見なされる非線形微分作用素として近年世界的な注目を浴びているもの)を含む常微分方程式と関数常微分方程式である。 第一の成果は、Sturm-Liouville作用素に関して周知のPicono等式が、1次元p-Laplace作用素の半分線形摂動である2階準線形微分作用素に対して拡張されることを立証したことである。Picono型等式は半分線形微分方程式の振動性に関する比較定理、分離定理を導出するために用いられ、その結果、線形常微分方程式と定性的に酷似した非線形常微分方程式の一群が存在することが示された。第二の成果は、p-Laplace作用素を含む半分線形方程式の非振動解の零点の個数の算出法の案出に成功したことである。すべての解の零点の個数を勘定することは勿論出来ない。しかし考察を特殊な漸近挙動を持つ解に限定すればそれが可能であることが予想される。研究代表者は、不動点定理とPrufer変換の拡張を効果的に利用することによって、この予想が正しいことを証明した。これは新しい発見であって、今後の研究に新たな地平を切り開くものとなろう。第三の成果は、p-Laplace作用素を中立化した微分作用素に非線形関数項を付加した関数微分方程式に対する振動理論の展開である。これは世界に先駆けた研究で、第二年次における本研究の重要なテーマになるであろう。
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