研究概要 |
正規分布の共分散行列に対する最尤推定量を改良する推定量としてSteinの縮小推定量,minimax推定量,Haffの縮小推定量、竹村の最良直交共変推定量等が知られているが、新たにYang andBerger(1994)がreference priorという無情報先験分布に基ずき一般化Bayes推定量を導いた。2次元の場合にこれらの推定量の正確な危険関数を評価したところ、一般化Bayes推定量は厳密には最尤推定量を改良していないことを示した。 多変量線形仮説に対する古典的に有名な4つの検定:尤度比検定、最大固有根検定、Hotellingの検定、Pillaiの検定について2次元の場合に正確な検定力を計算する公式を導きその検定力曲面のグラフを描きそれら検定の大域的な違いを明らかにした。従来大標本理論によれば仮説の近傍ではHotelling<尤度比<Pillaiの順に大きな検定力を持ち仮説から離れたところではPillai<尤度比<Hotellingとされていたが、小標本では成り立たない事を示した。 正規分布の平均が環状に順序が付いているとき均一性を検定するための一般化Bayes検定を導き尤度比検定と検定力の比較を行い最小値はほとんど変わらないが最大値はかなり大きくなることを示した。無情報先験分布として対立仮説の作る多面錐体の中心から最も遠い角ベクトル上に一様分布をとらないと良い一般化Bayes検定が得られないこと、また最も遠い角ベクトルは2つづ組みをなし中心ベクトルと等角で交わることを明らかにした。
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