研究課題/領域番号 |
09640250
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
今野 紀雄 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (80205575)
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研究分担者 |
斉藤 革子 横浜国立大学, 工学部, 助手 (50175353)
平野 載倫 横浜国立大学, 工学研究科, 教授 (80134815)
玉野 研一 横浜国立大学, 工学部, 教授 (90171892)
寺田 敏司 横浜国立大学, 工学研究科, 教授 (80126383)
高野 清治 横浜国立大学, 工学部, 教授 (90018060)
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キーワード | 相関不等式 / 無限粒子系 / 相転移現象 / コンタクトプロセス / パーコレーション |
研究概要 |
昨年度の研究においては、コンタクトプロセス、方向性のあるパーコレーションに対して、Harris-FKG不等式により得られる相関不等式を更に精密化した新しいタイプの相関不等式(BFKL不等式)を得ることが出来た。このことにより、従来の様々な手法で得られていた、上記プロセスの生存確率やそれに対する臨界値が、系統的に且つある場合には容易に得られることが可能となった。さらに、数理生物学などで近似として用いられた「ペア近似」の幾つかの場合に対して、我々の得た新しいタイプの相関不等式は、その正当性を数学的に与えることが出来た。 今年度は、以下の課題について研究を行った。 1) 上記研究対象であった、コンタクトプロセスや方向性のあるハパーコレーションは、attractiveという性質を満たしている。イジングモデルのような磁性体のモデルでは、この性質は強磁性に対応するものである。一般に、attractiveなモデルに対する相関不等式は幾つか知られているが、そうではないnon-attractiveなモデルに対する相関不等式を発見することは、今後の課題の一つである。 Non-attractiveなDKモデルに関して、Harris-FKG不等式が成立するかどうかについて、モンテカルロ・シミュレーションを行った結果、成立しそうであることが示唆された。しかし、BFKL不等式の成立に関しては微妙で、現段階では判断できない。 2) コンタクトプロセスや方向性のあるパーコレーションは、2状態の粒子系という立場から括ることが出来る。このような立場から、多状態の粒子系に対する相関不等式を発見することを課題とした。現在、多状態の場合の相関不等式はほとんど知られていないが、もし共存-非共存の十分条件を与えるような新しいタイプの相関不等式が発見できれば、物理学、生物学に与える影響は大きいものと考えられる。実際に、3状態の植生遷移モデルやサイクリック系に対してモンテカルロ・シミュレーションを行い、現在その結果を整理し、それに基づき数学的な証明を検討しているところである。
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