研究課題/領域番号 |
09640255
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
服部 久美子 信州大学, 理学部, 助教授 (80231520)
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研究分担者 |
中山 一昭 信州大学, 理学部, 助手 (20281040)
神谷 久夫 信州大学, 理学部, 講師 (80020676)
井上 和行 信州大学, 理学部, 教授 (70020675)
阿部 孝順 信州大学, 理学部, 教授 (30021231)
浅田 明 信州大学, 理学部, 教授 (00020652)
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キーワード | フラクタル / 自己回避ウォーク / 連続極限 / ハウスドルフ速度 / ハウスドルフ次元 / ランダムフラクタル / 見本関数 |
研究概要 |
今年度もフラクタル上の自己回避ウォーク(self-avoiding walk)の連続極限として得られる確率過程の見本関数の幾何学的性質を取り扱った。見本関数の軌跡は複数の分割タイプをもつランダムフラクタル(multi-type random construction)とみなすことができる。上記の見本関数のみならず、一般の複数分割タイプのランダムフラクタルの「厳密なハウスドルフ次元1exact Hausdorff dimension)」に関する定理を得た。この定理は、ランダムフラクタルのハウスドルフ次元が確率1でαであるとすると(一般にハウスドルフ次元は確率1で定まる)α次元ハウスドルフ測度が確率1で0である場合に正かつ有限な一般ハウスドルフ測度を与えるものである。これまでは単一分割タイプのランダムフラクタルの厳密なハウスドルフ次元(正かつ有限な値を与える次元関数のこと)、および、複数分割タイプに対して、α次元ハウスドルフ測度が正かつ有限となる十分条件までは、モールディン、辻井らによって得られていた。上の定理を適用することにより昨年度の結果より一般的な、d次元(d≧2)のシェルピンスキーガスケット上の自己回避ウォークの極限の見本関数の厳密なハウスドルフ次元が得られた。科学研究費補助金を用いて前年度にひきつづき、フラクタル、ハウスドルフ制度、確率論、エルゴード理論に関する書籍が不足していたので購入した。また、パソコンのソフトウェアを購入し、電子メールによる研究連絡、論文作成に利用した。さらに国内外の近い分野の研究者を直接会うことにより議論をし、ランダムフラクタル、および等角写像で生成される図形のハウスドルフ測度、パッキング測度に関する情報収集を行なうことにより、研究をより進める助けとし、更に次の研究課題へのヒントも得た。(ランダム)フラクタルは、相似写像をもとにして作られる図形ではあるが、より一般の写像をもとにして作られる図形のハウスドルフ測度、ハウスドルフ次元、厳密なハウスドルフ次元が、次の課題のひとつである。
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