研究分担者 |
安本 雅洋 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (10144114)
小澤 正直 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (40126313)
吉信 康夫 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 助手 (90281063)
松原 洋 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (30242788)
三井 斌友 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (50027380)
|
研究概要 |
帰納的関数論およびその計算量問題への応用に関して,本年度の研究において以下のような成果を得た。 (1)非決定性チューリング機械による計算において,受理状態で終る計算パスの本数が与えられた素数を法として0であるか否かによって入力列を受理するか否かを定める。そのような計算によって受理される言語のクラスは,計算量理論において最近注目されるようになった。本研究ではこのクラスを相対化することにより,帰納的関数論における次数の概念と同様にして,「数え上げ次数」を定義し,その順序構造を調べた。そして,2以外の素数に関しては「多対1還元可能性」は順序関係をなさないことを示し,さらに2を法とする「多対1数え上げ次数」のなす順序集合への有限束の埋め込みに関して特異な性質が成り立つことを示した。この結果は,数え上げによる次数が,従来研究されてきた様々な多項式時間計算可能性次数とは構造的に著しく異なっていることを示したものであり,数え上げに基づく次数の研究が有意義であることを示している。 (2)P.Cohenによって与えられたgeneric集合の概念は,精密化されて帰納的関数論において重要な役割を演じている。genericな集合から計算可能な集合をモデル論的に捉えることを問題として,一様な仕方で与えられたΣ^0_2稠密集合族に関してgenericな集合から計算可能な集合全体を特徴付ける可算モデルが存在することを示した。同様な結果は,帰納的でない集合から計算可能な集合全体を特徴づける可算モデルの存在としてすでにT.Slamanによって得られているが,上記の結果はΣ^0_2集合の性質を本質的に用いるものである。
|