研究概要 |
1.3次元定常乱流の直接数値シミュレーション(DNS)を大規模に行なった.これまで,この種の計算では空間解像度がN=512^3が最大規模であったが,1999年12月に名古屋大学に導入されたばかりの最新鋭のFujistu VPP5000を用いてN=1024^3の解像度で乱流場のDNSを行なうことに成功した.32個のProcessor Elementを極めて効率よく並列化したFFT (当研究で開発されたもの)を用いたものである.これは2000年2月の時点で世界最大規模であり,到達できたレイノルズ数R_λ=490もまた極めて高く,実験とも充分比較できるものである.結果は,すぐに2000年2月7日よりUC Santa BarbaraのITP(Institute of Theoretical Physics)で開かれた乱流の国際会議(Conference on Hydrodynamic Turbulence)でただちに発表され,大きな反響を得た.内容はhttp://online.itp.ucsb.edu/online/hydrot_c00で音声も含めて閲覧できる. 2.これまで乱流における圧力のスペクトルのスケーリングについては議論が大きく別れていた.即ちKolmogorov(1941)の理論によるP(k)=B_pε^<3/4>v^<-7/4>k^<-7/3>か,あるいは最近のDNSで観測されているP(k)αk^<-5/3>であるという説があり,はっきりとした答えは得られていなかった.しかし,当研究で行なった最大のレイノルズ数を持つDNSにより,散逸スケールよりは大きく,かつある特徴的なスケールλ_pよりは小さいスケールでP(k)αk^<-5/3>であり,λ_pより大きなスケールではP(k)αk^<-7/3>であることを強く示唆する結果が得られた.また普遍定数といわれているB_pは4.48と初めてその値が得られた.
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