研究概要 |
奨励研究(A)課題番号(07740154)において、nonlinear integratorの重要なクラスをなすd次元ユークリッド空間R^d上の連続写像の空間C(R^d,R^d)に値を持つセミマルチンゲ-ルに基づく確率微分方程式について考察し以下の結果を得た。 1.C(R^d,R^d)-値 セミマルチンゲ-ルに基づく確率微分方程式のMarcus・の意味でのcanonical extension(以下canonical SDEと呼ぶ)が定式化可能であること。 2.C(R^d,R^d)-値 セミマルチンゲ-ルに基づくcanonical SDEの解の微分同相性。 これらの結果を踏まえ本研究においては、次の結果を得た。 1.canonical SDEの解の存在一意性、及び同相性、更に微分同相性を保証する条件の改良と緩和。 2.canonical SDEの解の成す(微分)同相群上のstochastic flowのinverse flowは適切な条件の下で対応するbackwardのcanonical SDEの解として表現できること。 以上の研究結果により、canonical SDEは自ずから持つ構造により、stochastic flowの《良い》性質を持つクラスを自然に生成することが示されたと言える。 更に、本研究を通じて蓄積されたノウハウは、多様体上の飛躍を持つ確率過程をnonlinear integratorに基づく確率微分方程式によって構成する問題に応用できると考えられる。
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