研究概要 |
有限体GF(q)上の語長 n の r+1-次元線形符号Cの生成行列GはGF(q)成分をもつ(r+1)xn行列である。Gのどの2列も1次独立のときCは射影的符号と呼ばれる。特にGのどの r+1 列も1次独立のときCはMD S符号であるという。語長 n のr+1-次元の射影的符号Cの同値類[C]達と、GF(q)上のr-次元射影空間PG(r,q)の n 点集合Kの同値類[K]達の間には自然な全単射が存在し、符号の群Aut(C)と射影変換群Aut(K)は同型である。 特にMDS符号Cに対応する集合Kをn-アークと呼ぶ。もっと一般に、体 k 上の r-次元射影空間PG(r,k)の n 点集合Kがアークとは、Kのどの r+1 点も一次独立であること、と定義する。 射影自己同型群がPSL(2,7)と同型であるKlein 4次曲線の変曲点集合が24-アークになるのと同様の状況が次のWiman 6次曲線で確かめられた。 F_6=10x^3y^3+9(x^5+y^5)z-45x^2y^2z^2-135xyz^4+27z^6 より詳しく述べると次の通りである。代数閉体kの標数は2、3、5でないとする。 1.F_6は特異点をもたない。 2.射影平面PG(2,k)の射影変換群PGL(3,k)の部分群で、6次交代群A_6と同型なものが存在する。その1つをHとする。 3.H不変な6次曲線は F_6 と射影同値である。射影自己同型群Aut(F_6)はA_6と同型である。 4.F_6は72個の変曲点をもつ。K_72をこの変曲点全体の集合とすると、Aut(F_6)はK_72に推移的に作用する。 5.w、dをそれぞれ1の原始3乗根、原始5乗とし、k_0をkの素体とする。 k_1=k_0(w,d)と置くと、K_72はPG(2,k_1)に含まれる。特に標数が素数pでq=p^mとすると、q-1が30の倍数ならk_72はPG(2,q)に含まれる。 6.K_72がアークある必要十分条件は、標数が11、19、31、61と異なることである(標数2、3、5は最初から除外している)。
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