研究概要 |
本年度は線形・非線形SOR型反復アルゴリズムについて,従来の成果を統一する数学的理論の構築および最適パラメータwのえらび方等につき研究した. 1.SOR型D-K法における最適パラメータの決定 1996年山本は岡山理科大学菅野講師,ブルガリア科学アカデミーKjurkchiv教授ととともにSOR型D-K法に対する局所収束定理を与え,その有効性を示したが,山本はさらにそれを発展させて,現在知られている全根同時型反復解法のすべてに通用する一般局所収束定理を導き,解の近くではw=1ととるのが最適であることを明らかにした.これにより,究極の適応的SOR型D-K法の開発が可能となった.具体的なアルゴリズムを現在検討中である. 2.半線形方程式のDirichlet問題への応用 -△u+f(u)=0(f'≧0)のDirichlet問題を離散化して生ずる有限次元半線形方程式に対するSOR-Newton法の大域収束定理をいくつか導いた.この結果は線形方程式に対するOstrowskiの定理,Kuo-Levy-Musicusの定理の完全な一般化になっている.この成果を得るに当って,大阪女子大学石原教授,早稲田大学室谷教授の強力を得た. 3.凸問題への一般化 上記の結果を凸問題へ一般化し,SSOR,ad-hocSSOR法に対する大域収束定理を導いた.この成果は石原教授との共同によりえられたものであるが,さらに滑らかでない方程式に対しても収束定理をえた.これら非線形SOR型解法を実行するとき,反復の各ステップにおいて,効率よい線形解法が必要となる.大学院生小原および分担者方の実験によればGMRES法が有効であり,この方法の解析については分担者小柳の有効な助言を得た。またDirichlet問題の解の滑らかさの減少については分担者土屋と深い討論を行った.
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