研究概要 |
今年度は精度保証付き計算の応用を広げる方向の研究と、基本的なツールとしての計算プログラムの開発および実装のための研究との2つの方向で活動を行なった。 応用を広げる研究としては、パラメータの値によって解の分岐を起こすNavier-Stokcs問題に対し、スペクトル法を基礎とした解の数値的検証を行なったことが挙げられる。従来の我々の方法は有限要素法を基礎においていたが、領域の形状を単純化して捉えるモデルに対してはスペクトル方を用いる方が簡明である。有限要素方の場合と比べて誤差評価定数を数値的に捉えるのが容易であることがその理由となる。次年度では数値計算ソフトのひとつであるMATLABによって精度保証付き計算用のプログラムをライブラリ化する計画を持っているが、スペクトル法を基礎におくプログラムを中心に作成しようと考えている。 基本ツールの開発・実装としては前年度に基礎的な研究を行なった対称行列の固有値の値およびその順位に対する精度保証付き計算のプログラム開発が挙げられる。これは、特に帯行列に対して用いる場合に他の方法に比べて使用するメモリーを削減できるという利点をもつ方法である。 精度保証付き計算では丸め誤差の影響を考慮するために、区間演算と丸め方向の制御を行なうことが要求される。これまでは専用のソフトウェアを用いることが多かったが、山本はFortran90に組み込まれているコマンドを用いて丸め方向の制御を簡便に行なう方法を考案し、これを実装してその性能を試験した。この方法では、基本となるベクトル内積演算において精度を改良したいときには4倍精度の浮動小数点数を部分的につかうことでこれを行なう。以上の結果をドイツで行なわれた国際学会で口頭発表した。課題は次の通りである。 Yamamoto,N.,A verification method for indices of cigenvalues of symmetric matrices,Dagstuhl-Seminar on Symbolic-Algebraic Mcthods and Verification Methods-Theory and Application,Saarbrucken,Germany(1999.11.22).
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