経時測定データの解析に関連したランダム効果モデルに関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09640280
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 熊本大学
• 研究代表者: 横山 隆久 熊本大学, 工学部, 講師 (20240864)
• 研究分担者: 中村 忠 岡山理科大学, 理学部, 教授 (20069074) ; 高田 佳和 熊本大学, 理学部, 助教授 (70114098) ; 坂田 年男 熊本大学, 工学部, 助教授 (20117352)
• キーワード: 経時測定 / ランダム効果 / 共分散構造 / 成長曲線モデル

研究概要

本年度の研究目的は、多変量の経時測定データヘの応用をもつ共変量を伴う多変量成長曲線モデルにおいて、一般的な多変量ランダム効果共分散構造の族の適合性の検定問題を調べることであった。このモデルの平均構造の中に含まれる未知パラメータ行列の一部分である最初の任意個の列ベクトルに、部分的に個体変動を考慮することによって得られる多変量ランダム効果共分散構造の族の適合性の検定問題に関して、いくつかの有用な結果が得られた(J.Statist.Plann.Inference 65(1997))。まず、多変量対称性に関する仮説に対する尤度比統計量とそのh次のモーメントを求めて、特性関数を展開することによりその仮説の下での分布の漸近展開を求めた。次に、この結果を利用して一般の仮説に対する修正尤度比統計量とその仮説の下での分布の漸近展開を導出した。1変量の場合の正確な尤度比統計量は複雑ではあるが、ある種の条件付最小値問題の解を用いて表わすことができる。しかし、多変量の場合の正確な尤度比統計量は極めて複雑になるためこの修正尤度比統計量が実用的である。この簡便統計量に関する収束理論的な側面や逐次解析的な側面の評価については研究分担者坂田、高田によって基礎的な結果が得られた。さらに、今後の重要課題の1つである各時点で欠測値をもつような不完全データの場合の解析に関連する結果についても研究分担者中村によって得られている。また、本年度の課題に関連して、この共分散構造の特別な場合におけるいくつかのグループの平行な平均プロフィールに関する2つの仮説に対するWald型検定統計量とそれらの仮説の下での漸近分布に関する結果も得られた(to appear in Hiroshima Math.J.)。
以上の研究成果を基にして、多変量ランダム効果共分散構造をもつ共変量を伴う多変量成長曲線モデルにおいて、平均および分散パラメータに関する推定問題を調べることが次年度の課題である。

研究成果

• [文献書誌] T.Yokoyama: "Tests for a family of random-effects covariance structures in a multivariate growth curve model" Journal of Statistical Planning and Inference. 65・2. 281-292 (1997)
• [文献書誌] T.Yokoyama: "Wald-type tests for two hypotheses concerning parallel mean profiles of several groups" Hiroshima Mathematical Journal. (to appear).
• [文献書誌] T.Sakata and R.Sawae: "Maximum likelihood estimation of variances of a normal distribution using the information of correlations" Proceeding of 6-th China-Japan Symposium on Statistics. 173-176 (1997)
• [文献書誌] T.Sakata and R.Sawae: "A Study of relative error and mean square error of mle of correlation matrix under inequality constraints among correlations" Proceeding of 9-th Korea-Japan Joint Conference of Statistics. (to appear).
• [文献書誌] Y.Takada: "Fixed-width confidence intervals for a function of normal parameters" Sequential Analysis. 16. 107-117 (1997)
• [文献書誌] Y.Takada and H.Hyakutake: "Fixed-size confidence region by multivariate two-stage procedure when the covariance matrix has a structure" Journal of the Japan Statistical Society. 27・1. 37-44 (1997)
• [文献書誌] Y.Takada: "Effects of correlated disturbances of some regression problems" Communications in Statististics-Theory and Methods. 26・8. 1925-1935 (1997)
• [文献書誌] Y.Hirai,H.Okumura and T.Nakamura: "A Bayesian approach to modified empirical transform and its application to dose-response model" Proceeding of 9-th Korea-Japan Joint Conference of Statistics. (to appear).