研究概要 |
{A(t)}をドリフト項のないsubordinator (非減少1次元加法過程)とし,rを右連続,左極限を持つ [0,∞)から [0,∞)への関数でr(0)=0,x>oでr(x)>0となるものとする.確率微分方程式 dX(t)=-r(x)dt+dA(t) で定まる確率過程{x(t)}を在庫過程(storage process)という.本研究では(a)まづ,在庫過程に対応する半群は(1)1/r(x)の [1,∞)での積分が発散し,(2)レヴィ測度の全測度が有限かまたはrが非減少であればバナッハ空間C_Oで強連続であることを示した.つぎにレヴィ測度が有限な場合に生成作用素の定義域を決定した.さらにrが非減少の場合に生成作用素のコアを与えた.(b)また,在庫過程は正再帰的か零再帰的かまたは推移的であるかの3つの場合に場合分けできることを示し,再帰的(正再帰的または零再帰的)であるための十分条件および推移的であるための十分条件を得た.これらの条件ではrが非減少である事は仮定していない.これら二つの条件のどちらも適用できない場合があることを{A(t)}が安定過程でrがべき関数の場合に示した.しかし,特殊な場合(オルンシュタイン=ウーレンベック型過程になっている場合)には上記の推移的であるための十分条件の一部だけで十分条件になっていることがわかり,それはまた必要条件にもなっていることも示した.
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