研究概要 |
符号長がn、次元がk、最小距離がdであるq元線形符号(qは素数または素数べき)をq元[n,k,d]符号という。この研究の主な目的は次の2つの問題を解くことである。 (問題A)与えられた整数n,k,qに対して、q元[n,k,d]符号が存在するような整数dの最大値(これをd_q(n,k)で表す)を求め、d=d_q(n,k)であるようなq元[n,k,d]符号を求めよ。 (問題B)与えられた整数k、d、qに対して、q元[n,k,d]符号が存在するような整数nの最小値(これをn^q(k,d)で表す)を求め、n=n_q(k,d)であるようなq元[n,k,d]符号を求めよ。 最近の一連の研究によって、q=3,k≦5の場合やq=4,k≦4の場合には、すべての正の整数dに対して問題Bは解決されたが、q=3,k=6の場合やq=4,k=5の場合には、多くの整数dに対して問題Bは未解決であった。今回(1997年度)の文部省科学研究費補助金(基盤研究(C))による研究によって次の結果が得られたので報告します。 1.q=3,k=6の場合には、d=17,23,24,51,153,154,155,157,179,205に対して問題Bを解決した。すなわち、n_3(6,17)=30,n_3(6,23)=39,n_3(6,24)=40,n_3(6,51)=80,n_3(6,153)=232,n_3(6,154)=234,n_3(6,155)=235,n_3(6,157)=238,n_3(6,179)=271,n_3(6,205)=310が成り立つこよを示した。 2.q=4,k=5の場合には、d=179,181,182,185,207,216,219に対して問題Bを解決した。すなわち、n_4(5,179)=241,n_4(5,181)=244,n_4(5,182)=245,n_4(5,185)=249,n_4(5,207)=278,n_4(5,216)=290,n_4(5,219)=294が成り立つことを示した。(詳しくは、研究発表(雑誌論文)1から8を参照) 3.1997年11月3日から11月14日まで大阪女子大学でベルゲン大学のT.Helleseth教授と(科学研究費を用いて)共同研究を行い、q=3,k=6,d=63の場合に対して問題Bを解決した。すなわち、n_3(6,63)=98が成り立つことを示した。
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