本研究の目的のひとつ、「双曲性がくずれた力学系に対する時間相関関数の多項式的挙動」に関する結果が次の様に得られた。ある可算生成分割に関して滑らかな多次元の変換が、有限個のindifferent periodic pointを有する時、Bunimovich-Sinai-Chernouらにより開発されたMarkou appoximation methedの変形と考えられている、LiverauiのPerron-Frobenius operatorの摂動をとおしたアプローチが適用でき、実際多項式オーダーで時間相関関数の減少のオーダーを評価する事ができた。対象となる観測量のクラスは、有界関数あるいはある種のリプシッツ型条件を満たす2乗可積分関数と比較的広いものとなっておりまた得られた結果はindifferent fixed pointを有するManneville-Pomeau変換で代表される一次元変換のみならず、Inhomogeneous liophantire approximation algorithmから派生する2次元のlocally skow productへも適用可能である。以上の研究成果は1997-1998年に恒り招へいしたM.Pollicott氏(マンチェスター大学)によるレビューを受けた事により達成されたといえよう。又Loi-S.-Yong氏(UCLA)来日に際し開催された東京都立大での研究集会・富山での勉強会への参加発表により、有効な情報を得る事ができ、中心極限定理に関する方向性を見い出す事ができた。
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