研究概要 |
産業に現れる非線形現象を記述する非線形放物型方程式系のうち、相分離を記述する江口-沖-松村の方程式系について主に研究を進めた。とくに、方程式系の数学的定式化,長時間後の振舞を特徴付けるアトラクターの存在,および空間1次元の場合の定常解の安定性に関する数値シミュレーションの3つ分野に関して研究協力者と共に研究し次のような成果を得た。 1. 問題 与えられた(u_0,υ_0)∈L^2に対して,次の方程式を満たす(u,υ)∈L^2(O,T;V)を求めよ.d/(dt)(u,φ)+LH(Δu,Δφ)-L((∂f(u,υ))/(∂υ),Δφ)=0 ∀φ∈V_1, d/(dt)(u,ψ)+MK(∇u,∇ψ)+M((∂f(u,υ))/(∂υ),ψ)=0 ∀ψ∈V_2 (u(0),ψ(0))=(u_0,υ_0) この弱問題に対して次の定理を得た. 定理 任意に与えられたT>0と(u_0,υ_0)∈L^2 with υ_0∈L_4(Ω)に対して,つぎの条件を満たす(u,υ)が存在する. υ∈Cω(|Ο,Υ|;L^2)∩L^∞(0,T;L^2∩L^4)∩L^2(Ο,Υ;V_2)∩L^6(Ο,T;L^6(Ω)),∀T>0. 2. 江口-沖-松村方程式系はアトラクターをもつことを示した。 3. 1次元問題の数値シミュレーションを行った。この問題は研究途中である。
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