研究概要 |
コンパクト基数を扱うためには,正規でないP_Kλ上の極大フィルターを考えなければならない。コンパクト性から、任意のK完備なフィルターは極大フィルターに拡張されるので,正規でないフィルター又はイデアルの性質を調べることが、課題解決の手がかりを与える可能性がある。そこで阿部は,準正規イデアルの構造を追及し,任意のイデアルに対して、それを含む最小の準正規イデアルを決定した。また、巨大基数的性質であるpartition propertyとdistributivityをもつ正規でないイデアルを考察し、多くの場合に、それらはコンパクト基数の仮定よりも強いものであることを示した。 別な形の巨大基数的性質である,イデアルのprecipitous性に関して,塩谷は,イデアルの生成元の濃度と,連続体仮説などの基数巾についての条件が決定的な影響をもつことを明らかにした。 一方、コンパクト基数と関係の深い組み合わせ論的性質について、阿部は、可測基数以下の巨大基数の階層と対応するdiamond principleの階層を見出だし,K上の正規極大フィルターの新しい一面に光を当てた。渕野は,基本的部分構造と強制法を用いて,ごく弱いsquare principleが半順序集合に与える影響を考察した。ごく弱いsquare principleはコンパクト基数と矛盾しないので、この結果は目標とする独立性証明に応用できるかもしれない。また、K上の最も基本的な正規イデアルであるclosed unbouned setsに関連したstickという組み合わせ論的性質も彼は提唱し、強制法に有用であることを明らかにした。
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