研究概要 |
デンボフスキーの提出した大きな擬正則な共線変換群を持つ射影平面の構成、分類問題のなかで、特に共線変換群の位数がn(n-1)の場合について研究した。問題をより一般化して、まず、1,n-1,n-2,(n-1)(n-2)をバレンシーとして持つ4次元のシュアー環を決定した。また、そのようなシュアー環のうちで、積差集合をもつものを決定し、このようなシュアー環と、位数n(n-1)の擬正則な共線変換群を持つ射影平面との関係について調べた。今後はさらに、積差集合をもつ位数n(n-1)の群について研究を進める予定である。 また、位相的立場から、ガンマ懸垂空間からのホモトピー集合に対し、ホフイトヘッド積を拡張した積を構成した。この積の代数的性質を調べ、自然性、双線形性、ヤコビ恒等式を証明した。この積とガンマホップ構成との関連も調べた。また、様々な幾何的な構成との関連も調べ、いくつかの公式を得た。 更に、幾何的立場から、射影平坦かつ捩れをもたないアフィン接続▽が与えられ3次元以上の単連結多様体Mの射影展開写像について研究した。その結果、接続▽は対称かつ負定値なリッチ曲率をもち、M上のある点pを視点とする測地線はすべてアフィン径数に関して無限に延ばせるとすると、(M,▽)の射影展開写像は単射であり、像はアフィン空間の有界凸集合となることを証明した。 また、群論的立場から、コクセタ-群のコホモロジー環から有限位数の放物的部分群のコホモロジー環の射影的極限への自然な環準同型が、F-同型であること、また特にアスヘリカルな場合は、全射になることを証明した。 更に、表現論的立場から、*-代数の表現と非有界作用素環の構造の研究を進め、その成果を上げた。
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